軽自動車より、275mm長いだけ。
手元に巻尺があるなら、床に3,675mmの線を引いてみるといい。1983年に登場したホンダ バラードスポーツCR-Xの全長であり、現在の軽自動車の全長上限3,400mmより、わずか275mm長いだけの寸法である。この長さの中へ、エンジンと変速機、燃料タンク、乗員の空間、荷室が収まる。さらに衝突時のエネルギーを吸収するための構造まで、同じ3,675mmの中に取らなければならなかった。
全幅は1,625mm、全高は1,290mm。数字を並べるだけでも小さなクルマであることはわかるが、その特徴をより鮮明にしているのが、全長に対するホイールベースの短さである。前後の車軸間距離は2,200mmで、全長に占める割合は59.9%。残る1,475mm、全長の40.1%が前後オーバーハングの合計である。仮に前後へ半分ずつ振り分ければ、それぞれ737.5mmという計算になる。
もちろん、実際の前後オーバーハングが等しいわけではない。エンジンを前方に搭載するFF車では、ラジエーターや補機類、衝突時の変形を考慮した構造など、前後で必要とされる空間が異なるためだ。それでも、この1,475mmという数字からは、ホンダが短い車体の中で、前後の車軸をどこに置くかという難しい課題に向き合っていたことがわかる。
一方、室内長は1,510mmで、全長に対する割合は41.1%。一般的な乗用車のように後席の居住性を優先するなら、もう少し長い室内空間が欲しくなるところだが、CR-Xはその方向を選ばなかった。むしろ、乗員のために必要な空間を割り切ることで、車体全体の寸法を小さくまとめている。その判断を象徴しているのが、次に見るリアシートの扱いである。
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2人の部屋に、何ミリ要るか。
初代バラードスポーツCR-Xの乗車定員は4名で、車体形式はリアゲートを備えた3ドアハッチバック。しかし、ホンダが掲げたキャッチコピーは「デュエットクルーザー 〜2人の自由のために〜」だった。登録上は4人乗りでありながら、商品として訴えかけたのは2人で過ごす時間であり、後席の居住性よりも前席を中心とした空間づくりに重点が置かれていた。
その考え方を端的に示しているのが、ホンダが「1マイルリアシート」と呼んだ後席である。1マイルは約1.6km。長距離を快適に移動するための席ではなく、必要なときに短距離だけ人を乗せられる補助的な空間として位置づけられていた。4人乗りという形式を残しながら、実際の使い方は2人を中心に考えるという割り切りが、CR-Xのパッケージングを特徴づけている。
| 全長 | 3,675mm | |
|---|---|---|
| 室内長 | 1,510mm | 全長の41.1% |
| 全幅 | 1,625mm | |
| 室内幅 | 1,340mm | |
| 全高 | 1,290mm | |
| 室内高 | 1,075mm | 全高との差215mm |
室内寸法は長さ1,510mm、幅1,340mm、高さ1,075mm。前席2脚を中心に構成された室内の後方に、小さなリアシートを配置することで、全長を延ばさずに4名乗車という条件を満たしていた。もし後席にも十分な足元空間を求めていれば、ホイールベースや車体後部の設計は違ったものになっていただろう。CR-Xは、その余裕を積極的に求めないことで、短い車体を実現していたのである。
さらに注目したいのが、全高1,290mmに対して室内高が1,075mmという関係だ。両者の差は215mmしかなく、低いルーフラインを成立させながら乗員の頭上空間を確保するためには、シートの取り付け位置やフロア構造を含めた細かな検討が必要だったことがうかがえる。
ただし、この215mmがそのまま床下の厚みを表すわけではない。室内高は車室内の測定基準に基づく寸法であり、全高との差には測定位置や車体形状の違いも含まれる。それでも、1,290mmという低い全高の中に人が座る空間を成立させるため、ホンダが室内と機械部分の配置を綿密に考えていたことは間違いない。
低いボンネットを実現するために選ばれたフロントサスペンションも、こうした空間設計と深く関係している。乗員の居場所と機械の居場所をどのように両立させるかという課題は、CR-Xの車体全体に共通していた。
横置き1.5Lのエンジンベイが、先に要求した寸法。
CR-Xが採用したのは、エンジンを車体前方に横置きし、前輪を駆動するFFレイアウトである。縦置きエンジンに比べて前後方向の占有空間を抑えやすく、限られた全長の中で乗員のための空間を確保するには合理的な方式だった。ただし、エンジンを横に置けばそれで済むわけではなく、変速機やドライブシャフト、操舵時に前輪が動くための空間まで含めて、車体前部を設計する必要がある。
発売時に用意されたエンジンは2種類で、1.3にはEV型1,342ccの直列4気筒SOHCを搭載し、キャブレター仕様で最高出力80PSを発生した。一方、上級グレードの1.5iには、PGM-FIを採用したEW型1,488ccの直列4気筒SOHCが搭載され、最高出力は110PSに達している。排気量の差は146ccにすぎないが、最高出力には30PS、率にして37.5%もの開きがあった。
この2種類のエンジンは、基本的に同じ寸法の車体へ収められていた。前輪中心より前方にはラジエーターやバンパーなどが配置され、後方にはエンジンや変速機の一部が入り込むため、前輪の位置はエンジンルーム全体の構成と密接に関係する。小さなエンジンベイの中で性能の異なる2種類のパワーユニットを成立させたことは、CR-Xの設計が単なる小型化にとどまらなかったことを示している。
| 1.3 車両重量 | 760kg | |
|---|---|---|
| 1.3 最高出力 | 80PS | グロス |
| 1.3 パワーウエイトレシオ | 9.5kg/PS | 760÷80 |
| 1.5i 車両重量 | 815kg | 800〜815kgの上限値 |
| 1.5i 最高出力 | 110PS | グロス |
| 1.5i パワーウエイトレシオ 815kg時 | 7.41kg/PS | 815÷110 |
車両重量は1.3が760kg、1.5iは資料によって800〜815kgと割れており、両者の差は40〜55kgに収まる。エンジンや燃料供給装置、駆動系、装備などの違いが重量差に反映されていると考えられるが、1.5iでも800kg台前半という軽さを維持していた点は見逃せない。
最高出力を車両重量で割り戻したパワーウエイトレシオは、1.3が9.50kg/PS、1.5iが7.27〜7.41kg/PSとなる。幅があるのは車両重量が800〜815kgに割れているためで、重いほうの815kgを採れば7.41kg/PSになる。車体の基本寸法を変えることなく、パワーユニットの違いによってこれだけの性能差を生み出していたのであり、軽量な車体を基本に据えたCR-Xの性格がよく表れている。同じ車体に2種類のエンジンを載せ分けるという考え方は、このあとDOHCのSiが加わったときにも引き継がれていく。エンジンの進化そのものは、VOL.3で扱う。
同じ時代の2ドアは、どこに車軸を置いたか。
全長3,675mmに対してホイールベースは2,200mm、前後オーバーハングの合計は1,475mm。ここまで見てきた室内空間とエンジンルームの構成を踏まえると、CR-Xの短いホイールベースは、車体全体のパッケージングを考えるうえで重要な数字だったことがわかる。ただし、室内長やエンジンルームの寸法を全長から順番に差し引けばホイールベースが決まるわけではなく、実際にはそれぞれの空間が前後方向に重なり合いながら配置されている。
短いホイールベースは、一般に車体のヨー慣性モーメントを小さくしやすく、ステアリング操作に対する向きの変わりやすさに寄与する。軽い車体と組み合わせれば、その効果はさらに出やすい。一方で、路面の凹凸に対する前後輪の入力タイミングや、加減速時の荷重移動には、長い車体より気を遣うことになる。ホンダが採用したアンチダイブなどのジオメトリーは、こうした車体の動きを抑え込むための手当てだった。
同時代のクルマと比較すると、2,200mmという数字の特徴はさらに明確になる。1983年9月に登場したワンダーシビックの3ドアは2,380mmで、CR-Xより180mm長い。同じ時代のトヨタ カローラレビンAE86は2,400mm、日産 パルサーEXAは2,415mmと、いずれもCR-Xを上回るホイールベースを持っていた。
ここで見ておきたいのは、CR-Xの発表から約3か月後に登場したワンダーシビックとの関係である。発表の間隔は91日。ほぼ同じ時期に世へ出た2台で、車軸の置き方だけが180mm分かれた。室内の使い勝手や乗車人数を重視するシビックに対し、CR-Xは2人を中心とした使い方と軽快な走りを優先していた。何を数えるかの違いが、そのまま寸法に出ている。
なお、2,200mmという数字は、ミドシップスポーツカーのランチア ストラトスが持つ2,180mmにも近い。ただし、ストラトスはエンジンを座席の後方に配置するミドシップ車であり、FFのCR-Xとはパッケージングの考え方が根本的に異なる。同じように短いホイールベースであっても、その数字に至る理由は一様ではない。
短さの代償は、幅で払う。
CR-Xのホイールベースが2,200mmであるのに対し、トレッドは前1,400mm、後1,415mm。全幅1,625mmに対する割合は、それぞれ86.2%、87.1%となり、前後方向に短い車体に対して、左右方向には比較的広く車輪が配置されていたことがわかる。ホンダはコンパクトな車体を成立させながら、走行安定性や操縦性にも配慮した寸法を与えていた。
TIPS
1/24にすると91.7mm。
ホイールベース2,200mmを1/24スケールに換算すると91.7mm、1/18スケールなら122.2mmになる。手元の定規で92mmを測ってみると、タイヤ2本ぶんの間隔がそれしかないことが分かる。カタログで2,200mmという数字を見るのとは、短さの印象がまるで違う。
全幅から前トレッドを引くと225mm、左右に分ければ片側112.5mmである。トレッドは左右タイヤの接地中心間距離だから、この112.5mmがそのままタイヤと外板の隙間になるわけではなく、タイヤ幅やホイールオフセット、フェンダー形状にも左右される。それでも、全幅1,625mmの中へ前1,400mmのトレッドを収めたということは、左右方向の余白をここまで使い切ったということでもある。
ホイールベースをトレッドで割ると、前が1.57、後ろが1.55。前後に詰めた車体へ左右いっぱいまで車輪を置けば、四輪の配置はこの比に収まる。そこへ全高1,290mmが重なって、あの凝縮したスタイリングが立ち上がっていた。
前後のトレッドを比較すると、後ろが15mm広いことにも気づく。FF車では前輪が駆動と操舵の両方を受け持つため、前後のサスペンションには異なる役割が求められる。リアトレッドの広さも旋回時の挙動に関係する要素のひとつだが、この15mmだけで後輪の安定性や旋回特性が決まるわけではない。タイヤや重量配分、サスペンションジオメトリーを含めた全体の設定として捉える必要がある。
最低地上高は1.3が165mm、1.5iが160mmで、その差は5mm。タイヤが185/70SR13と185/60R14で異なり、外径の差が床下の余裕としてそのまま現れている。全高1,290mmという低さを持ちながら、路面とのクリアランスは日常使用に要る量が残されていた。CR-Xの低いプロポーションは、単に車高を下げるだけでは成立せず、ボディ形状や床下構造、足まわりの配置を総合的に考えることで実現されていたのである。
| ホイールベース÷前トレッド | 1.57倍 | 2,200÷1,400 |
|---|---|---|
| ホイールベース÷後トレッド | 1.55倍 | 2,200÷1,415 |
| 前後トレッド差 | 15mm | 後が広い |
| ホイールベース÷全長 | 59.9% | 2,200÷3,675 |
しかも、この足まわりはグレードで一律ではなかった。1.3にはハイキャスタートレールが設定され、キャスター角は2°25′、キャスタートレールは13mm。タイヤも車両重量も違えば、前輪の据わり方まで変える——同じ車体を名乗りながら、細部は書き分けられていた。
DUAD SELECT
ネガティブオフセットが何をしているかを、図で確かめる。
キングピンオフセットやキャスタートレールは、言葉だけ覚えても車の動きには結びつかない。片輪だけが制動したときに前輪がどちらへ向こうとするのか、図と力の向きで一度追っておくと、§6で書いたジオメトリーの話が自分の運転の感覚とつながる。整備士向けの参考書は、この手の定義が図版付きで載っている。
品番24045。1/24スケールの完成サイズで、実車では意識しにくい前後車軸の近さを机の上に置ける。
タミヤ 1/24 スポーツカーシリーズ No.45 Honda バラード スポーツ 無限 CR-X PRO.
品番: 24045・スケール: 1/24・シリーズ: スポーツカーシリーズ・仕様: 無限CR-X PRO.(レース仕様)・ホイールベース換算: 約91.7mm
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1/18ならホイールベース換算122.2mm、全高換算71.7mm。前後トレッド差15mmに相当する造形も追える。
イグニッションモデル 1/18 Honda BALLADE SPORTS CR-X Si (E-AS) White
品番: IG1629・スケール: 1/18・車種: バラードスポーツCR-X Si(E-AS)・色: ホワイト・ホイールベース換算: 約122.2mm
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机の上でプロポーションを確認する用途なら、この大きさで足りる。真横から見たときの軸間の短さは出ている。
トミカプレミアム No.16 Honda バラードスポーツ CR-X
シリーズ: トミカプレミアム No.16・車種: バラードスポーツCR-X・形態: ダイキャストミニカー・流通: 生産終了品のため入手性は流動的(2026年10月8日時点)
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駆動系にも、一体中空ドライブシャフトやトリポート型等速ジョイントなど、軽量化と機能性を両立するための技術が採用されていた。CR-Xの小ささは外から見える寸法だけでなく、こうした目立たない部品の構成によっても支えられていたのである。
ばねを置く場所が、もう無い。
全高1,290mmという低いボディを実現するうえで、ホンダが工夫を凝らした部分のひとつがサスペンションだった。一般的なマクファーソン・ストラット式では、ダンパーの周囲にコイルスプリングを配置する構成が多く、その取り付け位置やストラットタワーの高さが、エンジンルームやボンネットの形状に影響する。CR-Xでは、こうした空間上の制約に対応するため、フロントにトーションバーを用いた独自の構成が採用された。
トーションバーは、棒状のばねをねじることで反力を発生させる仕組みであり、コイルスプリングとは異なる場所にばね要素を配置できる。CR-Xのフロントサスペンションは、マクファーソン・ストラットを基本としながら、ばねの役割をトーションバーに担わせることで、ストラットまわりの構成をコンパクトにまとめていた。これによってエンジンルーム上部の空間を確保しやすくなり、低いボンネットの実現にもつながっている。
ばねをダンパーの周囲から分離することには、レイアウト上の利点がある一方、ばね下重量や路面追従性への影響は、トーションバーの取り付け方やサスペンション全体の構造によって異なる。重要なのは、単純にコイルスプリングをなくしたことではなく、限られた空間の中で必要なばね機能を別の位置へ移したという設計上の発想である。
リアにはトレーリングリンク式ビームを採用した。この形式は構造を比較的コンパクトにまとめやすく、荷室や後席まわりの空間確保にも適している。CR-Xの場合、後席は補助的な位置づけだったものの、その後方には荷室があり、車体後部全体の高さや容積を考えるうえで、リアサスペンションの占有空間は重要な要素だった。
| フロント形式:マクファーソン・ストラット(トーションバースプリング) | SPACE ORIENTED REACTION TUBE TORSION-BAR TECHNOLOGY | |
|---|---|---|
| リア形式:トレーリングリンク式ビーム(車軸式) | SPACE ORIENTED RESPONSIVE TRAILING-LINK TECHNOLOGY | |
ホンダは、こうした前後のサスペンション技術を「SPORTEC」と呼んでいた。フロントの正式名称は「SPACE ORIENTED REACTION TUBE TORSION-BAR TECHNOLOGY」、リアは「SPACE ORIENTED RESPONSIVE TRAILING-LINK TECHNOLOGY」。いずれも冒頭に置かれているのはSPORTではなくSPACEであり、走行性能だけでなく、空間効率を重視した技術であることが名称にも表れている。
TIPS
1.3だけ、キャスターが違う。
同じCR-Xでも、1.3だけはフロントのキャスター設定が違う。キャスター角2°25′、キャスタートレール13mm。外から見ても分からないので、手元の個体がどちらかを知りたいときは、当時の整備資料と部品番号を照合するのが確実である。
さらに、フロントにはアンチダイブ、ネガティブオフセット、ニュートラルステアなどのジオメトリーが組み合わされていた。ネガティブオフセットは、左右で制動力や路面抵抗が異なる場合に、操舵系へ伝わる力の影響を抑える方向に働く設計であり、直進安定性に関係する。CR-Xの足まわりには、低い車体を成立させるための空間設計と、軽快で安定した走りを実現するための技術が同時に盛り込まれていた。
MM思想とは、引き算につけた名前だった。
ホンダのMM思想は、「マン・マキシマム、メカ・ミニマム」の略として知られている。人のための空間を最大限に確保し、機械が占める空間をできるだけ小さくするという考え方で、一般には室内の広い乗用車を実現するための思想として説明されることが多い。しかし、1983年のCR-Xを見ると、この考え方が必ずしも室内空間の拡大だけを意味するものではなかったことがわかる。
当時の報道発表資料では、エンジンやサスペンションなどのメカニズム部分を小型、高密度で高性能な設計にするという方針が示されていた。CR-Xでは、機械部分をコンパクトにまとめることで、広い後席をつくるのではなく、全長3,675mm、全高1,290mmという小さく低い車体を成立させている。2人を中心とした室内空間を確保しながら、スポーツカーとしてのスタイリングと走行性能を実現することが、その目的だった。
同じMM思想でも、2012年のNシリーズでは異なる方向への展開が見られる。プラットフォームの低床化によって室内空間を拡大し、軽自動車の限られた寸法をより有効に使うことが目指された。一方、CR-Xでは、機械部分の小型化を低い車体とコンパクトなパッケージングに結びつけていた。車種によって求められる価値が違えば、同じ思想から生まれるクルマの形も変わってくる。
MM思想という言葉が室内の広さと結びつけて語られるようになったのは、Nシリーズ以降のことである。1983年のCR-Xでは、同じ思想が低く小さな車体のほうへ働いていた。人のための空間を最大にするという原則は変わらないまま、何を人のための空間と呼ぶかが、車種によって違っていたのである。
ホイールベース2,200mmも、人のための空間を何に使うかというこの判断の下で選ばれた寸法だった。
1987年9月9日に発表された2代目CR-Xでは、ホイールベースが100mm延長され、2,300mmとなった。初代の2,200mmは絶対的な目標ではなく、その世代に求められた性能と設計条件のもとで選ばれた寸法だったことになる。
| 全長 | 3,675mm | |
|---|---|---|
| 全幅 | 1,625mm | |
| 全高 | 1,290mm | |
| ホイールベース | 2,200mm | 全グレード共通 |
| トレッド(前) | 1,400mm | |
| トレッド(後) | 1,415mm | 前より15mm広い |
| 室内長 | 1,510mm | |
| 室内幅 | 1,340mm | |
| 室内高 | 1,075mm | |
| 最低地上高(1.3) | 165mm | |
| 最低地上高(1.5i) | 160mm | 1.3より5mm低い |
| 車両重量(1.3) | 760kg | |
| 車両重量(1.5i) | 815kg | 800〜815kgに資料が割れる |
| 乗車定員 | 4名 | 登録上 |
| 総排気量(1.3/EV型) | 1,342cc | 直4 SOHC |
| 総排気量(1.5i/EW型) | 1,488cc | 直4 SOHC |
| 最高出力(1.3) | 80PS | グロス |
| 最高出力(1.5i) | 110PS | グロス |
| パワーウエイトレシオ(1.3) | 9.5kg/PS | 計算値 |
| パワーウエイトレシオ(1.5i) 815kg時 | 7.41kg/PS | 計算値・815kg時 |
| ホイールベース/全長比 | 59.9% | 計算値 |
| 室内長/全長比 | 41.1% | 計算値 |
初代の短さをそのまま受け継ぐのではなく、次の世代では別の答えを出した。その変化もまた、CR-Xというクルマの設計思想を理解するための重要な手がかりになる。
割り切ったものと、守ったもの。
ホンダがこの車で割り切ったものを並べると、後席の足元、前後オーバーハングの余裕、そしてばねを置く場所の三つになる。後席は1マイルリアシートになり、オーバーハングは前後を合わせて1,475mmまで削られ、フロントのコイルスプリングはトーションバーに置き換わった。
一方で、割り切らなかったものもある。トレッドは前1,400mm、後1,415mm。全幅1,625mmの86%以上を車輪に使い、前後を詰めたぶんの安定を左右方向で買い戻している。小さくすることと、よく走ることは、この車では別々の操作だった。
TIPS
13インチで1,400mmを取る。
初代CR-X 1.5iのタイヤは185/70SR13。中古車を見に行くなら、まず純正サイズのままかどうかを確かめたい。インチアップされた個体はホイールオフセットまで変わっていることがあり、前トレッド1,400mmという数字が当てはまらなくなる。タイヤの側面に刻まれた3つの数字を読めば、その場で判別がつく。
後席に人を乗せるつもりなら、この車は選ばれなかった。1マイルという距離を後席に割り当てたからこそ、全長3,675mmが成立している。初代CR-Xの短さは、速く走るために削った結果ではなく、2人で乗ると先に決めたことの結果だった。
2,200mmが残したもの。
ホンダがCR-Xで決めたのは、長さではなく順番だった。2人ぶんの部屋と、横置き1.5Lのエンジンベイ、そして衝突時に潰れてもらう余地。この三つを置いたあとに残った寸法が、そのままホイールベースになっている。だから2,200mmは目標として掲げた数字ではなく、引き算の答えとして読める。
低さのほうも同じで、全高1,290mmを成立させるためにフロントのコイルは抜かれ、ばねはトーションバーへ移った。サスペンションに付いた名前がSPORTではなくSPACEから始まるのは、その順番を言っている。4年後の2代目がホイールベースを2,300mmへ伸ばしたのは、短さそのものが目的ではなかったことの裏返しでもある。

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